らせんの力を地面から体の軸へ伝える

まずは動画を見ていただきましょう。

泥中では足で泥をつかみます

こういう下肢が固定されがちな泥の中で重いものを振り回そうと腰をひねる動きをしますと、ボインボインとくるしなりの反動が腰に戻ってくるため、振り回されて腰を捻られているような力が働きます。そうすると負担は股関節へ抜けます。股関節が柔軟でしなやかな力に充ちていれば良いのですが、無理に股関節を動かそうとして力が無意識に入ってしまうと、逆に動きを制限されて膝をねじることになります。膝関節は前後に曲げる動きが自然で、ひねられると熱を持ち、水が溜まるようになります。そうならないように足首へと負担が逃げるわけですが、やはり限界はあります。そうして、はじめのうちは脚が張るとか痛いとか言っているうちに、引きつるだの膝が痛いだの、足が腫れるだのと様々な現れ方をし始めます。
こうならないためには、泥を足でつかむような心持ちで、地面からの力を足首の小さな動きで上へと伝えてゆくのです。
ちょうどこの力は、螺旋を描くように下肢を伝わり、腰から軸、上肢へと伝わるのです。この数秒の動画からそれを観て取れるとは思いませんが、こうした下肢が固定された足場の状況でも壊れないような動きを普段から身につけることは、怪我をしない、させないためには重要だと思います。
それを踏まえた上で次はこちらをご覧下さい。

足と地面との小さな拮抗感を螺旋で大きく増幅してゆきます

この直管は全長 5.5 mあります。これだけ長いと扱いにも注意が必要です。周囲のものを壊したりしない、引っかけて止まった力で自分を突かないなどの工夫は必要です。振るだけで反動は大きいですから、思った以上に体に負荷が掛かってきます。
直管の方向転換では、足の微妙な動きによって生じる小さな力が、螺旋運動に似た力の流れで増幅されながら伝わってゆきます。実際には、周囲はアーチなどの資材で囲まれていて、障害物は多いです。また、施設の場合は上にもビニールがありますから更に難易度は上がります。

わかりやすいように少し大げさに動いています。あまり腰は捻れていませんが、実際のところそれほど神経質にならなくても、少々腰が捻れたって構いません。多少ひねるほうが力は強くなります。どうして捻ってはいけないという風にいわれるのかといいますと、それは怪我をするからです。
体を使わない人にはあまりなじみが無いと思いますが、現実では自分にとって都合の良い場所ばかりではありません。石が隠れていたり、妙なものが埋まっていたり、草木が思いのほか丈夫だったりとか、想定外のことは日々起こりうるのです。
私たちは、想定外のことも起こりうることを前提に、体の使い方を工夫しているのです。
例えば、草刈り機や長い草刈り鎌などで、小気味よくぶんぶん振り回して作業しますと、何かに引っかかって動きが急速に停止したときには、回転運動の力の全てが回転軸に戻ってきます。体全体の連動を使わずに、体を捻る動きが強いからといってそれだけを使っていると、力がロックしたときには十中八九、腰膝股関節、足首などの関節やそれにつく筋肉のいずれかを壊すことになるでしょう。
この動きとは少し異なりますが、五点着地法というものがあります。私はボルダリングなどをして遊ぶときによくおこなっていました。わずかに似たところもあるかもしれません。
足裏から伝わる力を、内股を引き締める力と共に体軸へ送っています。おわかりでしょうか。
動画では恥ずかしがって下を向きがちですが、実際には顔はまっすぐ向きます。敢えて足場の悪いところを選んでパフォーマンスしていますが、可能であれば足場が有利な場所を前もって選抜する慎重さも、重要になってきます。

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