「菊と刀」という本
私は話が下手な子供でした。言葉を知らなかったからです。中学の頃、友人に一時間半の映画の解説を二時間かけておこなったこともありました。
今では随分上手になりました。訓練を継続したからです。先に言葉が浮かぶのに口が追いつかないため、言葉が引っかかる癖もありましたが、それもすぐ切り替えられるようになりました。
作文と読書が最も良い訓練です。作文も日記でもメモでも何でも良いので手で書くことです。体が覚えるのです。今では簡単に動画を記録して安心する人が多いことですが、それではやれる気になるだけで、身になりません。経験した気分がするだけです。カンフー映画を観ただけで、自分もできる気分になっていることと変わりません。
頭の中で文を構築したあとは、実際に話してみると、練習になります。人に聞かせなければなりませんので、興味深く聞いてもらう工夫を凝らすうちに、話し方も大変上達したと、自分では思っています。
私の文や話には特徴があります。結論をなるべく早い段階で出してしまうことです。何故そうなったかといいますと、つまらない本も我慢してたくさん読むうちに、体で覚えていったからです。
極めつけの本の中に「菊と刀」「存在と時間」などがあり、これがまたクソつまらない(失礼!汚い言葉は封印しているのですが、ここは敢えて)。
冗長な割に最後まで結論が述べられず、読み手に振る始末です。これらは外国人著者の本ですが、日本人の本もなかなか結論を述べません。それゆえ内容が希薄な本になる傾向があります。おかげさまで、私の読書速度は飛躍的に向上しました。始めと終わりを先に読んだら、あとはサーッと全体を眺めながらページをめくり、目にとまるキーワードの部分だけ読み返すのです。大事な中身の場合は、付箋を貼っておき、同じ本を別の日に同じ方法で読むこともあります。未知の言葉はそのときに吸収します。
速読法という斜め読みの方法とは少し違う、私独自の方法です。
件の「菊と刀」ですが、高校入学直後にいきなり渡され、感想文を書きなさいという宿題が出たことに驚愕したことで、未だに覚えているだけで、中身は全く覚えていませんでした。この度ブログを書くにあたって調べてみましたら、ああ、そうだったかと思いましたが、ネットで調べた情報なんてすぐにまた忘れるだろうと思います。
この宿題、途中で読むのに飽きて、締め切りに間に合わせるためにあとがきと、巻末掲載のどなたかの書かれた書評を読んで、アレンジして提出しました。のち、きちんと読みましたが、苦痛以外に何もありませんでした。人それぞれいろいろな思いがあるものだなあというのが、当時も今も抱く感想です。
トイレ中にふと思い出したので、取り急ぎ書いてみました。