整体通信令和7年5月号より〜ちょいむず
季節の体
既に梅雨の体に入ってきています。これは汗の内攻による喉の不調や呼吸器系統や排泄の閊え、体の重だるさなどで現れることが多いです。今の時季では汗は冷えて内攻する場合と、湿気で汗が閊えてこもる二種類が混在します。春の変化を素早く済ませられて、汗が順調に出る体が出来上がっている人には、そうなのかなという感じしかしないですが、心臓の働きが円滑でない場合には括約筋の働きが鈍くなるため、出したり止めたり、伸びたり縮んだりという機能が思うようにいかなくなるので、人によっては息苦しくなったり、不整脈が出たりしやすくなります。このような場合、自分でできる胸郭の動きを改善する方法として、肋骨寄せや藤岡式呼吸法、コウモリ型の体操(仰向けで脚を天井方向に伸ばして太ももの後ろ側をピンポイントで刺激する体操)などが良いと思います。
体の排泄力との関連が深い腰椎三番は腎臓系統・捻れ運動の時に力が集まる処として、整体操法では重視する処の一つです。人体力学的に腰椎一番や五番とも連動しやすく、不眠や膀胱炎などとも関連してゆく出発点ともなります。汗冷え、湿気に備えをしておきましょう。
5月1日時点では、右が下がる人が多く、これは解毒が上手くいってないためです。こうなると風邪による発熱が必要になる人もいますが、そうやって一度壊して回復することで季候に順応しようとしています。
4月下旬から汗冷えによる汗の内攻が増え、梅雨の症状のはしりが急に多く観られ始めました。古傷が出たり、発熱したり、大腿二頭筋が片方緊張して足首が痛んだ人もいます。春も古傷が出やすい時季でしたが、体の緩み方の場処による格差によるものでした。梅雨の古傷は流れが滞って表出するもので、排泄と活動の切り替えが下手な場合に古傷の不調が再燃します。
体相(体癖ともいう)によるものもあり、汗の内攻から腎臓系統に負荷が掛かりすぎると、体の力の配分に捻れ傾向が加わり、意地悪になったり頑固になったり、他人から言われたことの反対ばかりしたくなったり、股関節の回旋が上手くいかなくなって、まっすぐ前後に曲がるだけの膝関節に無理なひねりの力が加わって関節炎が出たり、喉の不調が多くなったりします。一方で、私の体のように軽く捻れが入っているのが普通で、その方がスムーズに動ける癖を含んでいる場合、普段からすぐ喉に不調が現れやすいが、汗さえ出していれば元気です。その普通の時に物理的に壊した膝でしたが、捻れのある体の人は、ぞうきんと同じで絞れば絞るほど硬くなって、つまり捻れの度合いが大きければ大きいほど、壊れやすく治り難くなるものです。ところが、この時季に運良く反対側に捻れる力が働いた場合、慢性的ではない一時的な不調が思わず治ってしまうことがあります。無論、余計悪化する人もいるわけですが。
排泄が滞っていると、化膿しやすくなり、なると酷く、元々ガンを持っている人であれば春にかけて回復の兆しがあったものが、梅雨時期に急に悪化したりなどということもありますので、発汗や発熱というものが、皆さんの考えている以上に重要になります。
膝2(ひざツー→膝痛)
前回3月号で触れなかったことについて、追加で説明します。死なない膝痛にあった内臓疲労には過食というものが多く観られます。また、結核性の関節炎というのも膝痛の中に稀に観られます。日本では結核が重要な病ではなくなって久しいですが、土着的に潜在していますので、抵抗力が備わっているだけで、実は感染は既にしていることも多いです。水疱瘡のウィルス等々もそうです。
ワクチンや抗生物質などの発達というのも関係しますが、盲点なのが細菌性のものを過度に排除するとカビが勢力を増すというところなのです。また、過度の予防免疫はアレルギーという、同種のタンパクに対する盲目的過敏反応を増やす一因になっています。
ガンの人に特有の匂いというのが私には敏感にわかるのですが、特徴の一つにカビに似た匂いがあるのは、何か関連があるのだと思います。
元々人間には全身の働きに都合が良いような細菌と共生しており、皮膚、消化管(特に腸)といった表面が一繋がりのところに様々な細菌叢が存在しています。消化管内に特定の消化物等が長く居座ると、アレルギーの元になるほど単一の物質が大量生産されることになります。近年のグルテン価が高すぎる改良小麦は、小腸にくっついて長くとどまるため、苦手とする体の人が多くなっていますが、皆さん鈍い上に情報過多の頭でっかちなので案外見落とされがちです。パンを悪く言うなとガチギレ(本気になって怒り狂う様子)されたこともあります。
私ならパンであるなら、昔のもっさりしたふすまみたいな小麦を天然酵母でじっくり分解した発酵生地を使って焼いた、ずっしりして噛み応えのあるものが好みですが、気軽には売られていません。従来であれば、こうした好みにもその人の敏感さが働くはずですが、近年は若い頃に体を使ってないので集中の持続力(潜在体力の表現の一つ)が養われてないために、経験が浅く、訓練が行き届かないので勘も得ず、鈍く、幼稚で、しかも選択肢が多く見えてその実、選択肢がないに等しいので、選ぶこともできないのです。パンであれば本物の味を知らないということです。それでもご飯の方がなんとなく好きと言える人はまだ望みがあるというものです。
で、膝ですが、中毒というものの中にはそうした一連の事情というものが含まれていて、一言で中毒といっても整体学的には難易度の高い問題で、肝臓腎臓、心臓というところに集約されてきます。また、皮膚にはよくその状況が現れ、色々推し量ることができます。その過程で、膝に症状が現れるということがあるのです。パンが悪いというのではなくて、鈍さの末に中毒を得て、膝痛の一因となる事例も多いという話でした。これも一種の過食なのです。消化不良による過食状態と言う方が正確ですが。
体が整体を覚える
潜在意識指導という言葉を、整体操法に織り交ぜる整体指導を学ぶ場においてよく耳にしました。なれど具体的手法というものを学ぶのではなく、師の一挙手一投足から汲み取る内容のものでした。身近にいる者ほど学び取る、というより染み込んでゆくというものでしたので、言葉を尽くした説明はなされているのですが、実は言外のところにそれがあるのです。それ故この秘伝を知りたいと目をぎらつかせている人からすると実に曖昧で、中にはいつまでも教えてくれないと文句を言っている人もいました。
私もお世話になった先輩方の中で、とりわけ熱心で、師の全てを見落とすまいと、可能な限りどこへでもついて回って、稀に鬱陶しがられることがあっても、へこたれずに真剣に学んだ先輩は、今ではひとかどの人物になって一段高い境地にいます。
体が良くなるということの中にも、教育が為されてゆくことで、悪くなって良くなろうとする、生きている間必ず存在する揺らぎというものが、円滑に経過することができるように、心を整え、体を整理する、その日頃の取り組みや生活そのものに整体の考え方を参照することによって、自然に機と要領を得て回復の流れに入ってゆく、このことが潜在意識指導となっており、体が整体を覚えたといって卒業を言い渡すことができるのです。生活が訓練であり、おこないの量と質と密度によって結果が得られます。