卵の白身の味
井本整体周南室が、まだセマディオビルの徳山室だった頃のことです。
(因みに、ビル名は反対から読むと「おいでませ」になる)
当時、一部の熱心な方たちに向けた勉強会のようなものを、門下生(内弟子)が担当していて、どういう経緯だったか忘れましたが、東京の事務局長だった私も食事会に呼ばれることになりました。
井本先生も参加するということで、皆さん大はしゃぎでした。
その席でのこと。
井本先生「藤岡君、今吸ってるそのタバコの火のついたところを舌に当ててごらん。」
藤岡「はい。」
井本先生がそう言うからには、即答です。いや、一瞬ひるんで一言聞き返したかもしれません。
今までやったこともありませんし、いきなりこう来るかという衝撃もあります。
猫舌気味の私は、内心びびりながらも、平然とした装いで皆さんに見本を見せねばなりません(笑)。
井本先生は優しげにニコニコ笑っておられる。
藤岡心の声(皆さん優しいと思ってる先生は、こうも恐ろしいお方なのだよ。)
私は生ビールを口に含み、水浸しにしてやってやろうとするも、つい飲み込んでしまい失敗、残った水分がありそうな部分めがけるも、べろっと出すには水気が多いと垂れてしまうため、よだれがこぼれないように飲み込んでしまって、これも失敗。(この間1〜2秒)
藤岡「シュッ(火の消える音)」
「??」
井本先生「どうだったかね。」
藤岡「もう一度やっても良いですか?」カチッ、シュボッ、チリチリ…ぷはぁ〜…シュゥゥ
「熱くないです。」
井本先生「卵の白身の味がしたじゃろう?」
藤岡「白身というか、灰の味です。あ、でも白身といえば白身のようです。」
井本先生が卵の白身の味と言うときは、実際にやってみないとわからないことの喩えであることがほとんどです。
本当に卵の白身の味がするわけではありません。卵の白身の味を説明しても、実際に味わったことのない人には感得できないことを表しています。