整体通信 令和8年3月号 より

季節の体

 腰椎四番から緩み(ゆるみ)始めます。今年は1月の最終週前後から、右側から緩んでくる人が多かったです。この部分は土台となるところですから、緩みが過剰(弛む:たるむ)になると、他の部分に余分に力が入ることで、無意識に体を支えようとしてきます。春先の賑やかで多様な症状は、その支えようとして力が入りっぱなしになっている部分がスムーズに緩まないことから生じます。

 今から増えてくるのは動悸、胃と口の中が荒れる、血管疾患、首から上の症状などです。胃と口の中と子宮の中は関連性があります。耳や鼻も生殖器との関連が深く、歯が浮くような感じになるのも春の症状の一つです。注意が散漫になりやすくもなりますので、氣をしっかり持つようにしましょう。特に何かと怪我をしやすい人、お気を付け下さい。

 柔らかい新芽のようなものや灰汁の強いものを食べたくなるのは、胃袋の準備運動のようなものです。

古傷が出やすい時季

 春と梅雨は古傷の出やすい時季です。春は張弛格差によるものが主で、梅雨時期は湿気と冷えによることが多いです。張弛格差はわかりやすく言うと、こわばって力が抜けないところと、鈍くなって力が入らないところの落差です。朝起きたときにどこかが痛い場合、頭の緊張から腰椎一番が緩まないことが原因の場合と、この張弛格差によって休まるところと休まらないところの差が大きくなる場合とがあります。

 古傷というと怪我を思い浮かべるかもしれませんが、過去の大病や精神的ショック、つまり心身の打ち身や薬や何かの中毒なども古傷の一種です。よって、ステロイドで抑制していた皮膚の状態が、薬を利用しているにもかかわらず悪化してくるというようなものも、古傷が出たと言えます。

 近年はステロイドの乱用によって、薬を使ってまもなく中毒死やショック死をするイヌ・ネコが増えています。ヒトに関しては薬事法など諸法律があるため私からは何も言うことはないのですが、つくづくヒトはゴキブリ並みの生命力だなあと思います。これを活用しないのは何故なのだろうと不思議に思います。

 この古傷の出るという自然な流れを活かして、裡に残ったまま芯のようになっているある種の硬直を敢えて引き出して処理する技術があります。思わぬものが出てきて驚かないで処理できるよう、事前の入念な読み取りと先読み、引き出したことによる苦痛を耐え抜く力の有無や準備操法など、ややもすると一年以上の時間をかけて準備と教育(排泄を止めないなどのこと)を進めることもあります。

 例えば脳の疾病だったりすると、高熱が出ることがほとんどで、その熱は止めてはなりませんが、その熱が命定めになることさえあります。従ってご家族やご本人に余程の理解が必要です。極力万一のことが起きないような入念な準備、先読み次第では断念して初めからなかったことにする(つまり提案も古傷出し操法もおこなわない)など、現在の社会状況ではおこない難い操法の一つです。

 似たようなものに妊娠三ヶ月目の仙骨ショックというものもありますが、これもその効果から現代ではおこなわない方が良いもので、いずれ失伝するであろう操法の一つです。私は師のおこなうのを観ましたし、施術して経験もありますが、これから後の人に継ぐのはもう無理でしょう。

 自然と出てきた古傷に関しては、これは体が大丈夫と判断して出してくるものであることがほとんどですので、そのまま対処します。これはそれほど困難ではありません。

痩せやすいのは12~3月

 霜の降りる頃は、体の中は体温を維持しようと張り切るため、活発な働きが湧き出る上、寒さで身が引き締まるため、中を抑制しないで骨盤を締めることができる好機です。特に男性はこの機を逃しては難しいですが、痩せたいという男性は意外と少なく、いても口だけで氣がないのでまずダメです。

 女性の場合は生理後から排卵日にかけては締まりやすいです。産後の後産が出終わってから両骨盤が揃うまでは虚の時機で、そのあと七週かけてゆっくり締まってきて、安定する三ヶ月までが重要で、狂ってない限りは自然に任せて無理をしない方が良いです。この期間は上手に角度を取ると、ちょっとした刺激で左右揃います。逆に言えば、下手が触ると骨盤ばかりか呼吸までもが狂ってきます。そしてずっと調子が狂います。上手に経過させると、産後益々艶が増して、体型が若返るばかりか、重病やアレルギーを抱えていた方なども、思わず治ってしまうこともあります。

 このように、大変重要な部位のため、面白がって締めていれば良いものではないのです。私は観察によって排卵や月経、妊娠などの生理的変化などを読み取ることが可能ですが、一応本人に合ってるかどうかを聞くようにしています。その上で以上のような説明をして生活の注意点を理解してもらうよう努めています。ご自身の身を守り育ててゆくためには必要な知識だと思います。

 冒頭の項目で述べたように、これからは春先の変化の過程で下半身が緩んでくる頃のため、骨盤を締めても痩せなくなります。この時季は緩むのが自然です。骨盤を締めるには準備となる操法計画が必須ですが、時機を逃すと準備はまた別の機のために効果を持ち越ししてゆかねばなりません。女性の場合は男性に比べてその機会はかなり多いと言えます。

 技術で以ていつでも締めることは可能ですが、好機を用いて自然な流れに乗るかどうかは、その後の効果の持続と健康への影響に関連してきますので、余程のことがない限りは、闇雲に締めれば良いというものではありません。また繰り返しますが、近隣の関節や筋肉に対して事前のセッティングは必要です。実はこれに期間が要ることもザラです。体を読める整体操法の指導者が、キチンと呼吸を利用しておこなうことが肝要です。そうでないと、背骨を捻って痛みが残るだとか、股関節を壊したとか、他色々壊す事例がみられ、その後始末がこちらに廻ってくることになります。そういう場合でも頼まれればちゃんと観ますけど、正直面白くありません。

 春の時季は操法の締めとして雀斑の処を締めることがセオリーです。これは骨盤を締める目的ではなく、一時的に腰椎四番に間接的な活を入れることで、支えようとしていつまでも緩まないでいた部位の動きを誘導するためで、再び四番が緩む頃には、引っかかりが他へ移っている、つまり症状が別のものに置き換わるか、後はスムーズに変化できて春の変化が全身に至って完了ということになります。

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