整体通信 令和7年12月号より〜風邪にまつわる話

季節の体

 体が乾くことで指の先が割れたり、唇が切れたり、小便が濃くなることで頻尿になったりしがちです。皮膚に潤いが保たれにくい体の人は、ガサガサしたり、荒れたりもしてきます。

 さらに乾きが深いと鼻汁の濃いものが喉に落ちてきたり、心臓の鼓動が乱れたり、痰が絡みやすくなったりしてきます。皮膚の問題が起こりやすい体の人は、今の時季に体に水を保てるようにしておくのが第一手です。汗を出し、熱を出し、老廃物を出す循環の元になるのが水と塩ですが、冬場に汗をかける人はそれほど多くはないと思います。それゆえ、体の乾きが慢性的な人には熱めの汁物を勧めるのです。

 熱めのものを食べることで汗が出て、味付けの塩分で程よく補給されると共に、水分を吸収しようという働きが亢まることで、水分が吸収されます。この頻度をなるべく多くすれば良いのです。敏感で元気な体の人は、水を飲むだけで吸収される時季です。利尿作用のあるコーヒーやお茶では水分補給にはならないということにご注意ください。

馬鹿は風邪をひかないは本当か

 これを機にことわざの成り立ちを調べましたが「風邪の症状を自覚しないほど鈍感」を例えて言ったものだそうで、なんだか嘘っぽい説明だなあと思いました。古くからある言葉であることには違いないようです。

 さて馬鹿は風邪をひくのか、ひかないのかですが、その回答は「ひいたりひかなかったり」です。以下に説明しましょう。

 

 ひかないのは頭の系統の風邪で、頭の系統の風邪は知恵熱のように高熱が首から上に出ます。脇の下で計る体温計ではわかりにくく、首から上の熱においても左右両耳で測定すると左右差があることがわかります。私は脈を取るとおおよその体温と血圧が推測できますが、それでも頭脳系の人には見せることで道理を納得して回復力に繋がることがあるため、敢えて見せるために体温計を二つ常備しています。

 常に首が緊張する人が、首が緩まなくなってくると、一旦壊すことで再構築を計る働きが起こります。これが風邪症状となるのです。目が熱かったり頭が痛くなったりすることも多いです。首の緊張が呼吸器と関連がある場合は、咳の症状が乗ることもあります。一般に馬鹿と見なされる人や状況というのは多種多様で、一概に知能が低いことと同義でないことが多いですが、頭で考えることが苦手であるか、訓練によって頭脳が発達していてもそれが本来得意な体ではない場合は、この系統の風邪を滅多にひきません。

 考えることばかりが得意で大言壮語を吐くことで完結して、行動になる前にエネルギーの分散がかなうような方は、そのエネルギーが閊えると首が硬くなって、いずれこの風邪をひくのです。ひいても抑えるなどすると、発熱によって弾力を取り戻すはずだった首の中の血管が硬いまま残り、それが動きを失うと、異物を押し流すことができなくなって、詰まったり、硬い壁が破れたりするのです。

 そういうわけで、理屈立った人から見ると一見馬鹿のように見えるタイプの人は、首がそれほどこわばらないので頭脳系の風邪はひかない、すなわち馬鹿は風邪をひかないのだと、この系統の風邪をひいた人から言われることになるのです。但し普段苦手なことを根を詰めてやり抜いた後などは、慣れない頭脳系の疲労のため、この系統の風邪をひくこともあります。

 ひく風邪は、呼吸器系の風邪(心筋炎や気管支炎など)、腎臓系の風邪、消化器系の風邪、生殖器系の風邪、筋肉系の風邪と、意外と多いです。

 私個人は腎臓系で喉にくる風邪と生殖器系で鼻に熱が出る風邪が多いようです。知性は訓練で得られたもので本来は本能直観型なので体の野生の割合が多く、簡単な風邪なら三時間~八時間で経過して回復します。私の場合は重くなるのは両方が合わさって尚且つ過食があったときです。この場合は一週間はグズグズします。また、真冬に東京の地下鉄が暑いと半袖になって新宿の街をうろついた時には、胸で冷えた汗で肺が疲労したところに、ホテルの空調の影響で風邪をひき、そのまま肺炎になって三ヶ月で20キロ痩せたこともあります。これを見てわかるように、馬鹿でも風邪をひいてますね。

 

 心筋炎でも風邪の症状のことがあるのです。その場合は心臓病ではなく風邪です。珍しい事例です。

 大雑把に説明すると、呼吸器系は咳と朝の熱、腎臓系は喉の異常やだるさと夕方のはっきりしない熱、消化器系の風邪は体が熱くなる熱と下痢や嘔吐や中耳炎や耳だれ、生殖器系では鼻の熱や鼻血または産褥熱のような下がらない熱などで男女によって出方に差があります。筋肉系の風邪というのは多くが冷えて神経痛のようになったり痛みが普段伸び縮みしないところに偏って腰痛のようになったりと、痛みに特徴があります。あくまでも大雑把に分類した場合です。

 なお下痢は解毒の意味が強いが、糖分の過剰で下痢をすることもあるし、太ももが冷えて下痢をすることもあるだけでなく、心臓の異常で下痢になったり色々あるので、専門家に判断を委ねることは大事です。医者でもわからない場合もありますが、整体操法では読み方がありますので、我々のような者に頼ることも選択の一つです。

 このように、馬鹿さ加減の解釈の仕方によって、馬鹿も風邪をひくし、馬鹿は風邪をひかないということにもなるのです。




ホームページブログのみの記述
→咳の仕方の観察をすると、深さや質などによって、どこの不調であるのかを推測することができます。

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