整体通信12月号より 風邪引いて治りかけです今
季節の体
乾燥する日も増えてきています。当然体は乾いてきます。秋に比べると体は水分を吸収しやすくなっていますが、水を飲むことの重要さをつい忘れがちになるのが今からの時季です。
秋には吸収促進のための策が必要でしたが、今からは水を飲めば水分は吸収されます。…というのが元気な人の話で、実際には多少の工夫が必要です。糖分を多く含む飲み物や、コーヒーお茶などの利尿作用の強い飲み物などは、乾きを促進する飲み物ですが、毎日飲むという方も多いでしょう。それならば水を飲むことはもちろん、熱めで塩気のある汁物や鍋物、ORS(OS-1のような電解質飲料)、砂糖控えめのスポーツドリンク(Green DAKARA)などを上手に利用することも、時には必要です。
体が乾くと冷えやすくなり、粘膜も過敏になって水を集めようとする働きから余分に排水やむくみが起こったり、傷つきやすくなるため炎症を起こしたりします。唇がさかむけるのはわかりやすい事例です。
体液の濃度も上がるため流れも悪くなり、アルコールが入るとアルコール脱水と小腸内での浸透圧の関係で、余分に水分を奪われて、砂漠のように水をかけても染み込まない状態になります。この状態には、秋同様熱めの汁物たっぷりを一週間以上続けるか、ORSのようなものを利用するかしかありません。
体の働きが良い人なら、体を使って汗を出すことで水が吸収するから良いのですが、今それができる状態の人はあまり多くありません。できるという人は風邪で発熱と発汗でも良いし、体を使って発汗でも構いません。気をつけるのは、汗を冷やさないことです。せっかく汗をかいても、そのあとそのまま冷やしてしまうと、喉にくる風邪か肺炎になり、面倒になります。また、水を決められた分量で飲むと、過剰摂取で水中毒という電解質バランスの崩れた状態(有名なのは低ナトリウム血症など)となりますので、多量に飲めば良いというものではありません。ご注意ください。
体を前に丸めるのがきつい
朝、靴を履くのに体が曲がらないことや、トイレでお尻を拭くのに手が届かず、無理に肩を引っ張り伸ばして肩を痛めたりする人はいませんか。このような場合、みんながテレビで見かけるような体操で無理をしては逆効果です。前後屈運動は無意味なのです。酷い場合、背中やお腹が引きつります。筋肉が縮まっていることは確かなのですが、だからといって逆に伸ばしては、反発力で余分に痛めます。このような場合一つの方法として、動く方に力を集めるというのがあります。では反らせば良いじゃないかというと、それも関節を痛める要因になります。ではどうするか。
①仰向けになってゆっくりと腕の重みを感じながら万歳をします。腕は床に付く必要はありません。肘を
曲げて手先だけ軽く床に付く程度で構いません。もちろん、簡単に付くなら付けても構いません。
②胸と肘とで頭方向へ背伸びをするように、心地よい程度に伸びをしつつ、両脚も足の裏方向へ伸びをし
て、上下で伸び合いをします。こういうのを、人体力学体操の引き合いと呼びます。井本整体発祥の技
術です。
③要領がわかってきたら右側だけ上下に余分に引き合ってみたり、右上と左下で斜めに引き合ったりしてみ
ます。左だけなど、色々と自身の体をじっくり感じてみてください。
以上の体操を上下捻れの体操(©井本整体)と呼んでいます。背骨も幾重にも連なった関節で、その隙間を作ってあげることで、周辺の筋肉が刺激されて緩む働きを利用しています。神経系統の改善にも効果的です。刺激を強めるには、ぐーっと引き合っておいて、素早く小さくポンと力を抜きますが、丸めるのがきついという人にはゆっくり力を抜く方が体に合っています。余裕ができて反射神経を養いたい人はポン抜きを試してみると良いでしょう。
付けっ放しは良くない電気毛布や電気カーペット
寝ている間は刺激に対して無防備です。寝ている間も反応していますので、いつまでも不自然な刺激が継続すると、寝ている間中それに対処する必要があり、いずれ、疲労から硬直へと向かいます。こうして体温調節機能が乱れ、狂ってくると、真夏でも寒いというし、腎機能も衰えてきて、体の中で伸びの悪いところの循環が滞って、腫れ物ができやすくなることもあります。先の上下捻れの体操に加えて、足首をゆっくり大きく何回も内外に回すことを習慣にしましょう。人はどのような人にも体の使い方の特徴があり、動きの中心になるところは疲労が集まりやすく、一日でも放っておくと、それだけ疲労は蓄積するようになっています。どれほど操法で効果を得ても、そこで終わりにしては、いずれ同じことを繰り返すようになるので、そうならないうちに日頃から整体習慣を取り入れておくことが重要です。
ニトリに敷きパットの良いのが入手しやすい価格で売られていますので、どうしても眠るとき寒いという人はN-warm-super(エヌ ウォーム スーパー)というのを敷いて寝るのがお勧めです。
ふくらはぎが攣った
ふくらはぎが攣るときというのは、腰の下がりで支えが下に移動したことで、常に踏ん張っていて力が抜けない状態になっています。そこに不意に力が加わると、過収縮で痛みを伴うのです。それを引っ張れば、余分に引っ張り返されて張力が増すので余計に痛くなり、回復も遅れます。ふくらはぎの筋肉が短くなる方向に膝をたたんで、足の甲から足先を軽く足裏方向に丸めて、アキレス腱が伸びないようにじっとしているとすぐに収まります。日頃から腰を強くする体操などで、腸骨稜に力が集まる状態を維持できるようにしておく心がけが必要です。また、内臓が遠因の場合、生活の改善と共に痢症活点や虫様突起の急処を用いた解毒操法を気にとめておくのが良いでしょう。
風邪の時の対処
風邪の経過の標準は二日から二日半です。体の良い人はそれで抜けます。逆に言えば、急いで利用しないとさっさと治ってしまうので、私自身はお腹で経過を観つつ、腰椎一番、胸椎五番の体操をおこなって、速やかに発熱を促しています。熱が上がらない人もいるでしょう。それならば日頃から汗の出せる体を養うために、季節ごとの過ごし方というのを紹介してきました。
風邪の初期は冷やさぬよう、熱めの風呂に入って体が桃色になり始めたときにサッと上がり、発汗と血行を誘導し、水の一杯でも飲んでおけばサッと抜けることでしょう。中医学で葛根湯の適用になるのはこの時期だけです。これは体温上昇と発汗を促すべき証の時のみに用いる方剤です。
寒気がするときは熱が上がる兆しで、その時に葛根湯や温浴法を試しても遅いので、これは暖かくして、発汗に備えて寝ておくことが肝心です。発熱が中途半端で上がりにくい時には、後頭部(盆の窪のあたり)に、六時間ごとに蒸しタオル法(ワンセット四から五回)をおこない、上昇してきたり、下がり始めている場合には止めます。平熱以下になったら平熱に戻り始めるまで刺激を避けて過ごします。